『万葉集』中、スギをよむ歌 
 

→スギ


短歌

 何時の間も 神さびけるか 香山(かぐやま)の 鉾杉が本に 薜(こけ)(む)すまでに
     
(3/259,鴨君足人)
 三諸の 神の神すぎ ゆめにだに 見むとすれども 寝(い)ねぬ夜ぞ多き
     
(2/156,高市皇子。第34句難解,別訓に「ゆめにをし 得見つつ共に」)
 味酒(うまさけ)を 三輪の祝(はふり)が 忌(いは)ふ杉 手触れし罪か 君に遇ひ難き
      (4/712,丹波大女娘子)
 神名備の 三諸の山に いつく杉 思ひ過ぎめや 蘿
(こけ)(む)すまでに
     
(13/3228,読人知らず。蘿はここではサルオガセ)
 石上
(いそのかみ) 布留(ふる)の山なる 杉むらの 思ひ過ぐべき 君にあらなくに
     
(3/422,丹生女王)
 石上 ふるの神杉 神びにし 吾や更々 恋にあひにける
 (10/1927,読人知らず)
 石上 ふるの神杉 神さびし 恋をも我は 更に為るかも
(11/2417,読人知らず)
     (石神神宮(奈良県天理市)の布留の神杉は、5世紀末頃の顕宗天皇の歌にも歌われる)
 神なびの 神依板
(かむよりいた)に 為る杉の 念ひも過ぎず 恋の茂きに
     
(9/1773,読人知らず)

 古の 人の殖ゑけむ 杉が枝に 霞たなびく 春は来ぬらし
(10/1814,読人知らず)
 わがせこ
(背子)を やまとへや(遣)りて まつしだす
   あしがらやま
(足柄山)の すぎ(杉)の木のま(間) (14/3363,読人知らず)
 


旋頭歌

 み幣帛(ぬさ)取り 神の祝(はふり)が 鎮斎(いつ)く杉原
   たきぎ伐
(こ)り 殆(ほとほと)しくに 手斧取らえぬ (7/1403,読人知らず)
 



跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
跡見群芳譜サイト TOPページへ カワニナデシコ メナモミ 文藝譜index 日本江戸時代以前index